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2018年10月 9日 (火)

民法相続編の解説

 最新号の週刊税務通信に
 民法相続編改正の解説があります。

 法務省民事局付担当者の執筆ですから、
 改正の趣旨を捉えた間違いのない解説です。

 改正の内容を要領よくまとめていて、
 改正部分の理解なら23頁の原稿で充分です。

 何冊かの解説書が出版されてますが、
 その内容の全てを23頁でカバーしてます。

 遺留分侵害額の請求について、
 従前通り現物請求も可能と論じているトンデモ本に比較すれば、

 明瞭、明解、確実な解説書です。

 ただ、制度の趣旨を淡々と説明するだけで、
 価値観も実感も語られていないところが不充分。

 「税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解」
 この改訂版で取り上げた多様な疑問は語られていない。

 仮に、配偶者居住権に限っても大量の疑問があります。
 ―――――――――――
 しかし、どのような場面での利用を想定した制度なのか見えないところがあります。遺産分割で配偶者居住権を認める事案は、相続人の全員が仲良しの場合なのでしょう。敵対している相続人がいる場合に成立する分割内容とは思えません。そうであるなら、なぜ、配偶者の取得分を、居宅の所有権ではなく、配偶者居住権に留める必要があるのか。配偶者の居宅処分権限を奪うことが目的なのか。

 配偶者の残りの人生には多様な出来事が出現することが想像されます。再婚することもあるでしょうし、子や孫が同居する場合もあるでしょう。転居する必要が生じることもありますし、介護を必要とする状況になることもあります。バリアフリーへの建物の建て替えが必要になる場合もあるでしょう。介護施設への入居の為に居宅が不要になる場合や、入居の為に資金が必要になる場合もあるでしょう。そのような場合に換金が不可能で、建物の建て替えも認められない配偶者居住権について、どのように対応すべきなのか。そもそも所有権を有さない「居住権」が自分の住まいの根拠であることに安心感を持つことが可能なのか。多くの場合は高齢な人達が利用する事になると思える居宅の使用について、それが所有権ではなく、無償の居住権であることに安心感を持てる人達が存在するのでしょうか。

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