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2019年8月 3日 (土)

ソフトバンクの節税手法

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 現物配当で出資金の簿価に含み損を作り出し、
 次に、出資金を譲渡して、譲渡損を計上する。
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 抜かれなかった伝家の宝刀
 国税vsソフトバンクG
 今日の日経新聞

 英国の開示資料や関係者によると、アームHD社は18年3月23日、SBGにリミテッド株の75%(2.6兆円)を現物配当した。同日、今度はSBGがアームHD株の78%を傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」などに譲渡した。配当を出し、価値が落ちたアームHD株を譲渡したため2兆円の損が生じた。

 業績悪化などの事態があったわけではなく、親会社が自ら配当として吸い上げたために損は発生した。再編後もSBGはリミテッドの支配権の100%を間接分も含めて保有する。実態に変化がないのに税のメリットを受けられた。背景には2つの税の論点がある。
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 この節税策は、
 次の処理の実践事例です。
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 組織再編税制をあらためて読み解く

 株式の継続保有が要件とされていないのが適格現物分配の大きな特徴だ。それは第5章の「未来の要件」で検討したとおり、二重の含み損の作り出しができないからだ。しかし、多額の配当を行うことによって、親会社が所有する子会社出資金の帳簿価額に含み損を作り出すことは可能だ。

 ここで、あるべき制度を考えてみる。継続保有を要求しないのであれば、例えば寄附金税制のように子会社株式の簿価を切り下げることはできないだろうか。そうすれば、親会社が所有する子会社株式に含み損は生じない。ただ、金銭配当ではそのような処理は行わないことを考えると、現物配当だけに簿価切下げを採用することはできない。

 いや、本当にそうだろうか。さらに発想を変え、金銭配当の場合も子会社株式の簿価を切り下げればよいのではないか。子会社からの配当は、金銭配当あるいは現物配当を問わず、子会社株式の出資簿価を切り下げる条文は考えられないだろうか。そのために、子会社から親会社への資産の移転は、組織再編成か資本取引かを問わず、すべて資本金等と利益積立金の払戻しとする処理に統一すればよい。金銭を交付する子会社が資本金等の額を減じれば、親会社(株主)は出資簿価の切下げが必要になるからだ。要するにその他資本剰余金の配当を行ったときの処理を、利益剰余金の配当にも適用するのだ。子会社からの配当について、利益剰余金を原資にするか、資本剰余金を原資にするかを選択できる税制は不出来だ。
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 しかし、こんなことは分かっていたはず。
 いや、分かっていなかったのかな。

 子会社が持つ利益積立金は、
 子会社が作り出した含み益なので、
 これを吸い上げても、親会社の出資簿価には含み損は生じないはずだと。
 利益積立金を多額に持つ会社の株式がM&Aされることは無いと。

 いや、しかし、
 寄附金税制で、出資簿価の付け替えを想定した税法が、
 配当では、出資簿価の付け替えを怠った。
 任務怠慢の罪です。

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