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2019年11月19日 (火)

路線価否定判決に波紋

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 路線価否定判決に波紋
 今日の日経新聞です。

 私が雑誌に書いた原稿ですが
 次の内容の裁判です。
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 相続財産に含まれる土地建物について、財産評価基本通達6項(国税庁長官の指示で評価する定め)に基づき、不動産鑑定評価額(甲不動産7億5000万円、乙不動産5億2000万円)による課税処分が行われた事案が登場した(平成29年5月23日裁決 裁決事例集)。

 甲と乙の2つの不動産を取得した3年後に相続が開始し、相続から9ヶ月後に乙不動産を売却したという事案だ。つまり、平成21年12月に銀行から借金をして土地建物を取得し、平成24年6月に相続が開始し、平成25年3月に土地建物を売却した。この事案について財産評価基本通達による評価額が否認され、同通達6項によって不動産鑑定価額が採用されてしまったのだ(東京地裁令和元年8月27日判決)。

 相続直前の駆け込み取得についての否認なら理解可能だが、相続の3年前に取得した土地建物についてまで否認の範囲が広がるとしたら恐ろしいことだが、その理由は判決からは判読不能だ。もっとも、裁決や税務訴訟の判決には語られない事実が存在することが多い。たとえば、課税庁が想定した否認理由が、その後、成り立たないことが判明したが、課税庁のプライドとして課税処分を取り消すことはできない。そこで他の理由に差し替えて主張を維持する。そのような主張でも審判所や、裁判所では認められてしまうことがあるのだ。

 いや、しかし、最近は課税実務が変わったのかもしれない。相続税の節税の為に取得した物件が、その物件の賃料収入、あるいは手元の資金では維持できない。相続が発生し、相続税の節税効果を果たした後には売却することが予定されている。売却する以外に資金繰りを確保する手段がない。合理性のある投資判断ではなく、ただ、節税の為に実行される手法を是認する必要はない。経営判断が先にあり、その次に節税が登場すべきであって、その逆ではない。

 金地金を利用した消費税の節税を否認した裁決(平成31年3月14日裁決)や、事業を譲渡し、空になった子会社を青色欠損金を承継する為に吸収合併した事案(東京地裁令和元年6月27日判決)のように、節税のみを目的にした取引が否認されているのが最近の傾向だ。

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